一目惚れ。

先生を一目みた瞬間に、恋におちた。







「運命! 運命の出会い以外にありえない!!」

4月のはじめ、自転車をこぐ翔の背中に向かって、何度も言った。

「亮太先生、やばい。まぢかっこいいんだもん。大人って感じ。数学の授業が楽しみになっちゃった」



先生は数学の担当だった。

『あ、先生って、俺のことか』

今年の新任だという先生は、まだどこか慣れない様子で、授業をすすめた。



だけど、翔以外の誰にも、この気持ちは内緒にしていた。

他の誰かに、先生をとられたりなんか、したくなかった。


「そりゃあ、よかったな」

「てか翔、誰にも言わないでよ?」

「なにをだよ」

「だからぁ、私が先生を好きなことぉ!」

「はぁ~?」

「誰かが好きって言ったら、かっこよく見えちゃうじゃん」

「んだよそれ」


翔はぶっきらぼうに笑っていた。


だけど、そんな翔にも秘密にする理由ができた。