お皿に残ったケチャップを持て余している内、男が訊いた。



「この後さ、どこに行きたい?」



「別に」




どこでもいい。





制服を来たままの私には、ここを抜け出す力なんてない。

そんなの、ずっと前からわかってる。





「ゆとり教育? ってやつだろ? うらやましいよぉ」





帰る場所なんてどこにもない。




行きたい場所なんか、どこにもない。





誰だっていい。




なんだっていい。










――どっちと住むかは、あなたが決めて










「ねぇ、デザート頼んでいい?」



返事を待たずに、メニューをめくった。