男の先に見える時計に目をやる。

寝転んだままでは読み取れないので、起き上がる。



「……もう、こんな時間か」



髪の毛をかきあげ、つぶやくと、男がにっこり笑ってみせた。



「お腹へらない?」



その笑顔に、亮太先生を重ねて見つめた。

年は、先生の方が少し若い。



「……オムライス食べたい」



「うん。任せてよ」



男がすっと、右手を差し出す。

高そうな腕時計が光っている。

私はその手をそっとつかんだ。





どこでもよかった。


ここ以外のどこかへいけるのなら、それでよかった。