別に、この土地にも、この家にも執着なんてものはない。


転校したって、引越ししたって構わない。


だけど、せめてもの反抗をと、
「イヤだ」
と渋ってみようとしたら、先に言われた。










「どっちと住むかは、あなたが決めて」










「……え?」





何も言葉が続かなかった。


押し黙る私をよそに、母は言う。






「だって、仕方ないじゃない。

悪いとは思ってるわよ」





自嘲ぎみに、口先を吊り上げる。