「ねぇ、真理子はぁ?」
帰り道、自転車をこぐ翔に訊いた。
「しらねーよ」
「なんで知らないのよ」
「お前がきけよ。つーか、重いぞ。太ったんじゃねー?」
「なっ」
小学校から一緒の翔とは、たまに二人で下校した。
「てめー、降りろよチャリ! 誰の自転車だと思ってんのよ」
「冗談だって」
「てゆーかなに? また車で送ってもらったわけ?」
「そうそう。俺、坊ちゃんだから」
「ただのシスコンでしょ」
夕日を背中に浴びて坂道を下る。
ぐんぐん加速度を増す自転車。
翔の少し長めの髪が揺れて、
太陽のオレンジに染まって見える。
風に乗っていつもの香水のニオイがする。
帰り道、自転車をこぐ翔に訊いた。
「しらねーよ」
「なんで知らないのよ」
「お前がきけよ。つーか、重いぞ。太ったんじゃねー?」
「なっ」
小学校から一緒の翔とは、たまに二人で下校した。
「てめー、降りろよチャリ! 誰の自転車だと思ってんのよ」
「冗談だって」
「てゆーかなに? また車で送ってもらったわけ?」
「そうそう。俺、坊ちゃんだから」
「ただのシスコンでしょ」
夕日を背中に浴びて坂道を下る。
ぐんぐん加速度を増す自転車。
翔の少し長めの髪が揺れて、
太陽のオレンジに染まって見える。
風に乗っていつもの香水のニオイがする。