「なにかあったら連絡しなさい」



家の前まで送ってくれた先生は、そういうと携帯を取り出した。


ポロシャツに、チノパン。


いつも通り、センスのない服装とは違い、最新機種の携帯だった。



「これ一番新しいやつじゃん。

しかもソフトバンクだし!

どしたの先生?

アタラシモノ好き?」



必要以上に反応を示した私がおかしかったのか、先生は目を細めた。



「よしよし、元気になったな」



意外にも、赤外線機能を知っていた先生と手早くアドレス交換を済まし、私は頭を下げた。



「ごめんね。重たい話して。

……送ってくれて、ありがとう」



乾いたはずの涙がまた出てきそうだった。


鼻がつーんとして、バレないように上を向いた。