二学期が始まってから、一ヶ月が過ぎた。


夏服の白いセーラーの上に、カーディガンを羽織る。

やっと肩まで伸ばした髪の毛を、巻こうかどうか迷っていたら、いつもの騒音に意識をそがれた。







「だから、仕事で忙しいんだよ、俺は!」

「パートは仕事じゃないっていうの!?」

「そんなこと言ってないだろう。ただ、家のことにまで手が回らないって言ってるんだよ!」

「いつもそれじゃない。あなたの子でしょう!」






朝っぱらから父と母が喧嘩している。







原因は何だろう。

夏休み明けのテストで、赤点を三枚もとってしまったことだろうか。

それとも煙草が見つかって、職員室に呼び出されたことだろうか。







「母親はお前だろう!」






ヴィダルのコテのスイッチをオフにする。



学校でやろう。



ハイソックスに足を通し、ローファーのかかとを踏み潰す。










――いってきます。










いつから言わなくなったんだろう。

音を立てずにドアを閉めた。