――え?





「なに、りょーちん、彼女いないの?」

「だっさ~」

「えー、先生、じゃー今度合コンしよーよー」

「なんだ、いないのかよ~」



みんながまた、それぞれに口を開く。



「あーもう、はいはい、行くぞ、次授業あるから」




よかった。

先生に、彼女はいないんだ。


私はこっそり、安心して息をついた。




だけど、教室を出ようとしていた亮太先生が、みんなの方を振り返り、言い残した。









「彼女じゃないけどな、好きな人はいるよ。ずっとずっと昔から、ただの俺の片思いだけど」