「え~、なに、りょうちん彼女いんのー?」

「写メないの、写メ!」

男子も女子も、先生を囲んでいたみんなが一斉に騒ぎ出す。











――先生に、彼女?











頭の中が真っ白になる。







「あ~、もう!」






先生が、困ったように頭をかく。

周りの生徒は、みんな悪戯っぽい表情をして、それを見つめる。

本当は今すぐ泣き出したかったのに、私は、みんなに合わせて笑い顔を作った。

うまく笑えているか、心配だった。




「仕方ないなぁ……」

つぶやいてから、思い切ったように、先生が口を開いた。










「いません! 残念ながら彼女はいません!」