劇って、何をするんだろう…
密かにわくわくしているわたしとは裏腹に、がっ君は随分とつまらなさそうだ。
「そんなことより、俺は桜とイチャイチャしてたいよ」
「…っ、だーめっ…!HRはちゃんと出なきゃ…!」
イチャイチャ、だなんて…っ。
真顔で言うから、わたしも顔が熱くなってしまう。
がっ君はしぶしぶと言った様子で、「仕方ないな…」と呟き、お弁当を開いた。
少し急ぎ気味でお弁当を食べて、教室に戻る。
席についた途端、がっ君はいつものように女の子に囲まれてしまった。
再び、胸がチクリと痛む。
さっきまで、二人でキスを交わしていたのが嘘のよう。
わたしとがっ君は住む世界が分かれたように、近くにいるのに遠い存在に変わった。
綺麗な女の子、ばっかり…
わたしよりもがっ君にお似合いの女の子たちは、可愛らしい声で、がっ君に声をかけている。