「ダメだ…このまま、教室戻りたくない」



ぎゅうっと抱きしめられ、部屋の時計に視線を移すと、お昼休みは残り20分だった。



「あっ、…早くお昼ご飯食べないと、授業間に合わないね…!」

「……授業なんて、出なくてもいいだろ?」



わたしの首筋に顔を埋めながら、がっ君はそんなことを言い出す。

万年全国模試一位のがっ君は出なくても大丈夫かもしれないけど、わたしはこれ以上休んだら授業ついていけなくなっちゃうよ…!

それに、次の授業は…



「5時間目文化祭のこと話すって言ってたから、ちゃんと出なきゃ…」



3週間後に迫った、文化祭の出し物を決めないといけない。


1年は、劇をするらしい。

屋台や教室で出し物をするのは、2、3年生の特権。