たしかに、高野くん、カラオケでラブソングいっぱい歌ってたし…
アーティストとか詳しいのかもしれない。この人は私が知らないだけかも。
……って言ったら、その言い訳でも通用すると思うけど
それって、私が都合よく考えたいだけじゃないかな。
現実から目を背けたいだけじゃないかな。
「…もしかしたらそうなのかもしれないけど、
でもきっと、高野くんの好きな人なんだよ」
「しーちゃん…」
「そう思ってた方が、それ以上期待しなくて済むし、
もし本当は違うとしても、これは高野くんの想い人なんだって思うことにする」
「せっかく連絡先も知れたのに、
そんなのつらいじゃん〜!」
由奈ちゃんが泣きそうな顔をする。
なんで由奈ちゃんが泣くのって思うけど、
私のこと考えてくれてるのが伝わってきて、嬉しくなった。