「桜、綺麗ね。」

彼女がベットの上で、病室の外を眺めて言った春。

僕は彼女を車椅子に乗せ、桜の木を眺めて団子を食べた。

風がそっと吹くと彼女の頭に桜の花びらが乗り、僕が取りながら2人で笑い合った。





「私、そういえば海を見たことがなかったわ。」

一緒に旅行雑誌を見ていた夏。

元気になったら行きたいと、沖縄への想いを馳せる彼女。

流石に沖縄は無理だったが、病院から1番近い海まで車を走らせて、2人で眺めながらたくさん話した。

海の光を浴びてキラキラ輝く彼女はとても美しかった。