翌朝。
わたしは、どうもいつもの目覚ましのアラームでは起きられなかったみたいだ。
「あぁ、おはよ、珠華」
昨日のおうくんとは全然違う。
いつものおうくんだ。
「おはよう。寝坊しちゃって、ごめんね。すぐ朝ごはん作るからね」
「え? もうあるよ」
「あっ」
おうくんがテーブルに指をさしたので見てみると、そこにはいちごジャムを塗られたトーストとゆで卵があった。
「用意してくれてたんだ」
「そりゃ、珠華がこんな風に遅くまで寝てるってことは、なんか疲れてんじゃないかって思って。そんな珠華に朝飯作らせるほど、俺だってガキじゃねーし」
頬をポリポリと掻きながら、おうくんはそっぽを向いて答える。
そんなおうくんが、なんだかとっても可愛く見えてしまった。
「ふふっ、ありがとう」
「と、とりあえず冷めるから食っちまえよ」
おうくんは、わたしを睨むように見ながら言った。
「うん」
わたしは、パタパタとテーブルの席に着く。
「いただきます」
手を合わせて、いちごジャムのトーストにかじりつくとサクッといい音がした。
ゆで卵を口に含むと、わたしがいつも作るようなものよりも少し硬い。
「ねぇ、おうくん」
「ん?」
「ごめん、呼んだだけ」
「……変なことすんなよ」
おうくんは決まり悪そうにしているけれど、わたしはやっぱり、昨日のことが気になるんだ。