「結菜(ゆいな)!」



大人の人の声がしたと思ったら、若夫婦が迷子センターの中に入ってきていた。

あっ……ゆいな、『結菜』ってことは、この人たちがお父さんとお母さんか!



「パパー、ママー!!」



お父さんとお母さんに、泣きながら駆け寄る結菜ちゃん。



「よかったー!!」



「どこに行ってたのよ、この子ったら……」



わんわんと泣く結菜ちゃんを抱きしめる、お父さんとお母さん。
その様子を見たおうくんは、突然背中を向けてしまった。



「お、おうくん……?」



「あなた達が、娘を見つけてくれたんですか?」



「違います、こいつだけです」



おうくんは、わたしの肩をポンと叩いた。



「あ、あぁ……」



……おうくんったら、そんな風にぶっきらぼうに言わなくても、いいだろうに。
しかも見ず知らずの人にその態度は、ちょっと失礼なんじゃない?



「あなた?」



「あっ、はい……」



結菜ちゃんのお母さんに問われて、思わずそう返事をしちゃった……。



「本当にありがとうございました!」



「ありがとうございました!」



結菜ちゃんのお父さんとお母さんに頭を下げられても、おうくんの態度が頭に引っかかってしまい、わたしは笑顔で対応することができなかった。