「珠華!」
迷子センターのドアが勢いよく開いたかと思うと、おうくんの声が聞こえた。
「おま、勝手にいなくなって、どこ行ったのかと思ったら!」
「ご、ごめんなさい」
「おにいさん。おねえちゃんのこと、おこっちゃダメ!」
迷子の女の子が、わたし達の間に入った。
「おねえちゃん、ゆいながないてるとこ、たすけてくれたの」
ゆいな……。
この子、ゆいなちゃんっていうんだ。
「ううん、違うの。わたしがもっとはやく、お兄さんに連絡しておけばよかった話だから。ゆいなちゃんは悪くないんだよ」
でも、この子、優しいな。
こんなに小さいのに、人を庇えるなんてすごいや。
ゆいなちゃんがこんなに優しいってことは、お父さんもお母さんも優しい人なんだろうなあ。