「わ、わりぃ。ちょっとトイレ」
「うん」
ポップコーンを食べ終えた後に、わたしはおうくんがトイレに行くところを見送った。
やっかいなことにならないように、わたしはここで待っていた方がいいね。
「うぅ……うわーん! パパー! ママー!」
ふと、わたしの耳に飛び込んできたのは小さな女の子の泣き声だった。
見回すと、近くで小さな女の子が1人でベソをかいていた。
……あれ? 白いうさぎの絵がプリントされたピンクの服、そして高い位置で結んでもらっているツインテール……。
『パパ、ママ! みて、メリーゴーランドだよ!』
さっき、メリーゴーランドへ走っていた女の子だ!
「おねえちゃーん……パパとママがいないのぉ……」
わたしがずっと見ていたことに気がついたのか、女の子はわたしの方に寄ってきた。
どうしよう。
わたし、迷子の子を助けてあげたことなんて一度もないよ!
こんな時、おうくんがいてくれたらいいのに……。
さっき、呆れたように笑いながらこの女の子の後ろを歩いていたお父さんもお母さんも心配しているだろうな……。