「珠華、おい、珠華」
気がつけば、ゆさゆさと肩が揺さぶられていた。
「ん? ああ、ごめん。何?」
「さっきから呼んでんだよ。お菓子、いろいろ売ってるけど何がいいか聞くために」
本当だ。
チュロス、ポップコーン、アイス……。
いろいろな種類のお菓子が売ってあって、どれも美味しそうだ。
「ポップコーンがいいかな」
「おっけー」
わたし達は、ポップコーン屋さんに並んでお金を払う。
2人で1つのポップコーンで、キャラメルと塩のミックス。
キャラメルの甘い匂いが、ぷーんと鼻まで飛んできた。
「いただきまーす!」
ポップコーンを一粒口に放り込むと、甘いキャラメルの味が舌に染み渡った。
「美味しい!」
そのまま、わたしはポップコーンをもう一粒食べた。
食べれば食べるほど、どんどん口いっぱいに広がっていく、甘いキャラメル味。
「おうくんは、他のお菓子も食べたことあるの?」
塩のポップコーンを頬張るおうくんに、わたしはそう聞いた。
「ん。確か、小5あたりに、じいちゃんとばあちゃんと来てたなぁ。あそこのアイスもめちゃくちゃ美味かったなぁー」
じゃあ、今度遊園地に来た時には2人でアイスを食べようかな。
だって見れば見るほど、美味しそうに見えるんだもん。
バニラの白、いちごのピンク、チョコレートの茶色、レモンの黄色、抹茶の緑……。
カラフルなアイスがずらりと並んでいて、ポップコーンを食べていてもアイスも食べたい気持ちが募ってくる。