「じゅ、珠華」
「ん?」
「あのさー、今度の日曜さ、遊園地に一緒に行かね?」
おうくんが、ポケットからチケットを2枚、決まり悪そうに出してきた。
「遊園地?」
「チケット取ったんだけど」
わたしは思わず、おうくんのチケットを覗き込んだ。
「へぇー! あっ、この遊園地知ってる!」
カラフルな観覧車の絵が描かれてあった、明るい雰囲気のチケット。
間違いない。
「え、マジで!?」
「うん、ちっちゃい頃はよく行ってたの!」
懐かしいなぁ。
メリーゴーランドに乗るのが、とにかく大好きで行く度に乗っていたんだっけ。
「行こ?」
「珠華……」
「せっかく、私服も買ったんだしさー」
わたしがそう言うと、みるみるおうくんの顔には笑みが広がった。
「おう!」
おうくん、本当は自分が遊園地に行きたかったんだな。
そう思うと、子供っぽいおうくんがちょっと新鮮に感じてしまった。