「ねえ珠華。聞きたいんだけど、あの金髪男と同居って抵抗はないの?」
翌日。
学校へ行って、朝のホームルームを終えて真白のところへ行くと、頬杖をつきながらそう聞いてきた。
……っていうか、金髪男って……。
いくら本人がここにいないからって、そんな言い方はないだろうに。ちゃんとおうくんは、『佐伯 桜介』って名乗ったんだけどなぁ。
「あるっちゃあるけど、でも優しいし。おうくんは……」
「へえ、『おうくん』か」
頬杖をついたまま、ニヤニヤしだす真白。
「えっ……!」
「苗字とかで呼ぶんじゃなくて、ニックネームで呼んでるの? なかなかやるじゃない、珠華」
思わず目をパチパチさせまくったわたしだけど、話の内容を理解して思わず両手をバタバタさせた。
「ままま、待って真白! わたしが、『おうくん』って呼んでるのは、呼び捨てが恥ずかしいだけで……!」
「何? 向こうが、『おうくん』って呼ばせたってこと? うわ〜大胆!」
「呼ばせたってわけじゃないと思うけど……」
向こうがとりあえず、一緒に暮らすから苗字で呼ぶのはやめて、下の名前で呼び合うよう誘ったけど、わたしはまだ呼び捨てに慣れてなさすぎるから、あだ名で呼ばせてもらっている……なんてことを言いたいけど、もっと真白からからかわれちゃう。