「珠華ー!」
2人で家を出ると、女子の声が聞こえた。
珠華と同じ制服で、ショートボブにした女子が、こっちに向かって手を振っている。
「あっ、真白」
珠華の友達か。
俺が一緒にいることに不審に思ったのか、その珠華の友達は、俺を見て怪しそうに目を細めた。
「え!? 珠華、何この金髪の男」
「ちょっ、真白落ち着いて……!」
「珠華の同居人の、佐伯 桜介です」
「はぁ? 同居人……って、一体どういうことよ珠華!」
すごい剣幕だ。
今にも胸ぐらを掴まれそう。
「真白っ……。これは、事情っていうのがあってね……」
「珠華が、自分の家に事情があっていられないみたいなので、今は俺のところにいる、それだけです」
俺が手短にまとめても、彼女はまだ顔を赤くして鼻息を荒くしている。
「それだけですじゃないでしょ、あんた! 詳しい話を聞かせられないからって、そんな一言でまとめたって、納得いくわけないでしょ!」
「いいから真白落ち着いてっ!」
「落ち着けないよ! 珠華も珠華だよ、一体どうなってるわけ!?」