「おうくん、お風呂いいよー」
「はいはい」
そう言いながら俺が顔を上げると、目に飛び込んできたのは、ピンクでフリフリしていて、いかにも少女趣味なデザインのパジャマを着た珠華。
あのー……なんていうか……俺は男でずっと一人暮らししていたから、こんな風に珠華が女の子感丸出しのパジャマを着られていたら、とても落ち着かない。
このパジャマ……珠華がこの家に来たばかりの時に買ったやつだよな……。
俺はどんなデザインかまでは当然見ていなかったから、まさかそんなピンクのフリフリしたパジャマを選んだとは思わなかった。
「おうくん?」
あーっ!!
なんなんだよ、いくらなんでも俺、落ち着かなすぎだろ!
俺の気持ちを全くわかっていない珠華は、長い髪やピンクのパジャマを揺らしながらきょとんとしている。
ぽとん、と珠華が握っているタオルに長い髪から滴る水が落ちた。
「な、なんでもねぇ! お、おう、風呂……行くわ」
俺は、逃げるように風呂場へ向かった。