「……どっちもいーんだよ、俺は」
ぺち、と今度はガーゼの上から軽く叩かれた。
いつもと同じような、平坦な声音。
……けど、いつもと違う、平坦すぎる声音。
「……へえ、ふうん。いいご身分ですねー」
「……なんだよ、その言い方」
さすがにこれはムッとしたのか、眉を顰めて見下ろしてくる千住サマ。
その迫力と言ったら。
蛇に睨まれたカエル状態に陥りそうになったけど、ぐっとお腹に力を入れて耐える。
「要するに、千住サマはベンキョーしなくてもテストとかで上位に入れるぐらいの頭の良さと半端ない運動神経を持ち合わせてるんですよね??サボれるんだから」
煽っている自覚は十二分にある。
けど、理由を聞かれたら、たぶん答えられない。なんとなく、としか。
この時、途轍もなく煽りたくなった。ただそれだけ。
「もしかして、私が知らないだけで、この前のテストも順位表とかに載ってたりします?見ておきたかったなー」