「で?おかあさんみたいな人って誰よ」
「えー……っと、仏頂面のくせに面倒見が途轍もなく良くて、料理はプロ級、みんなのおかあさん的存在の人です」
「……その人は保育士か何かなの?」
そっか。ハタから聞けばそんな風に見えるんだ、あの千住サマ。
「保育士じゃなくて、猛獣使い、いや、どちらかというとドッグトレーナー……?」
「ますます訳わかんなくなったんだけど」
片眉を上げて、何言ってんの?って顔をしてる先輩には苦笑いを返すしかない。
でも、まさにそれなんだよなあ。
自分で言っておきながら、例えはめちゃぴったしだと思う。
本人には絶対、口が裂けても言えな……や、口が裂けるぐらいなら言うけど。
「ほら、仕事始めるよ」
「えっ、あっ、あと一口だけ!」
「もう口に突っ込みなよ」
「ひまひょうひへまふ」
「何言ってるかわかんない」