「あの、千井をどうにかしてくれませんか」

「なんで俺に言うんだよ」

「だって千住サマが私のおかあさんじゃなくて、みんなのおかあさんだったから……」

「毎度、オマエの理由は理由になってないんだけど」




ええ、ちゃんとした理由じゃないですか。


ぶうっと口を尖らせながら、隣で自分の分の黒いお弁当箱を洗う千住サマを真似して洗ってみる。


……が、サッサと手際良く洗っている千住サマに対し、ちんたらと遅めの私。



家事スキルに圧倒的な差がありすぎる。

だいぶ前から思ってたけど。




「なんでそんな洗い物までプロなんですか……?」

「オマエがド下手すぎるだけ」




ぐうっと言葉に詰まれば、はっと鼻で笑われた。

くっ、何も言い返せないのが悔しい……。




「で、今日は休みなのか?早く帰ってきたけど」

「いえ。今日もまた代替でシフトが夕方くらいから入ってるから、6時には出ます」