それは、私と同じ眠そうな目をした千住サマ。
最近、ようやく苗字呼びに慣れてきたとこ。
「だって、いっつも僕がマオマオと話してると割り込んでくるじゃん!」
「マオマオ言わないで」
「マオマオはマオマオでしょ?!ならシャオマオ?!」
「なんで中国語」
きゃんきゃん吠えてる千井の首根っこを掴んだまま、くあっと欠伸をする千住サマ。
下駄箱でこんな会話を繰り広げてるからか、めちゃくちゃ悪目立ちしちゃってるし。
もうそのまま千井を連れ去ってほしいよ、千住サマ……。
若干遠い目をしていたら、またまた第三者の、それも千住サマよりもっと眠たげな声が聞こえた。
「……どしたの、こんなとこで」
「……那吏、ちゃんと目開けて歩け。こける」
「……ねむ、」
「お前らほんと話聞かねえな……」