「あれ、今日はあの寝こけてた人いないんですね」



先日の屋上で、私たちの会話に一切入ってこなかった人が、今日は不在みたい。


そして、それを聞いた瞬間、なぜか凛琉がパッとこっちを振り向いた気がした。



「ああ、那吏のこと?那吏なら今頃机で寝てんじゃないかな」

「寝るのが好きな人なんですね」

「そうだけど……なんで敬語なの?」

「いや、おか……ごほん。千住サマのお友達ですから」

「おかあさんって言う癖、サッサとなおした方がいいよ」




ちずが怒るから、とコソッと耳打ちされる。


……うん、頑張る。おかあさんはおかあさんじゃなくて千住サマ。



「あ、では改めて。私、氷高真生って言います」

「僕は千井光流(ちいみつる)だよ。よろしくね」

「よろしくお願いします」