手を止める気配をみせない伽夜の言葉は、すこし、むずかしい。
「……なに、言ってるんですか。あかねさんの真似をしていたから、ぜんぶ、あかねさんの意志に決まって、」
「じゃあ、俺への優しさは?同情は?葉柴への友情は?千井への鼓舞は?それもぜんぶあのセンセの意志だって?」
「………、そうに、決まって、」
「─────じゃあ、お前自身が好きな肉まんは?いつも半分にわける習慣は?それも、あの人の意志だって言うのか?」
こんなに詰めてくるなんて、伽夜にしては珍しいこと。
……でも、伽夜が詰めなきゃいけないくらい、今の私は不甲斐なくて、目を背けてばかりの意気地無し。
「……それもぜんぶあの人の意志だっていうなら、俺には、お前があの人のことを侮辱しているようにしか聞こえない」
「……っ、」
「真似るのが間違ってるとも、憧れるのが間違ってるとも思わない。どう思おうと、どう真似しようとそいつの勝手だからな。でも、あの人のぜんぶが真似できるなんて慢心、お前自身持ってないだろ?」