そんな時に、私の生きる指針を与えてくれたのが、あかねさんだった。


彼女みたいになりたいと思った。

生き方がわからず迷って嘆いて反発ばかりしていた私のことを、根気強く待って導いてくれた、彼女のように。


あかねさんとはほとんど面識がなかったのに。
まだ物心がつく前に、一度会ったことがあるかどうかだって、自分で言っていたのに。


初対面の私に、愛想がわるくて心配ばかりかけていた私相手に、笑顔を絶やさない人だった。

……そして、それ以上に、すごくすごーく、マイペースな人でもあった。



どうやったらあかねさんのようになれるかと思って、まずは真似ることから始めた。

彼女だったらこんな時どうするだろうと、それを最初に考えて、いつしか行動するようになった。


……それが定着し始めて、すこしした頃。

生き方の指針としていたあかねさん本人が、私の前から永遠にいなくなってしまった。