「……もし変わってくれって言われても、その日は絶対断れよ」
「あ、はい、わかりました……」
お墓参りは、いつでもいいんだけど……なんでこんなに念を押してくるんだろう?
そんな疑問は、数秒後には解消された。
「その墓参り行く前にすこしだけ、時間取れるか?」
「大丈夫、ですけど……」
「─────ちょっと、母さんと会ってくる」
その言葉に、ぴしりと、思考と手が止まった。
なんで私にそれを伝えるのか意味がわからなくて、混乱して、それでも言葉は止めまいと、必死に口だけを動かす。
「……そ、う、ですか。じゃあ、それが終わるまで私は近所のカフェで時間でもつぶしてます」
「……?いや、だから、お前もその場に同席してほしいって意味だったんだけど」
至極当たり前のように落とされた言葉に、今度こそ口が開いたまま動かなくなった。