凛琉の的確すぎる言葉に、数秒思考が停止して。



「………うわああああ」

「え?ま、真生?どうしたの?」



恥ずかしくって、情けなくなって、持っていた教科書で自分の顔を覆った。


あああああ、私、鈍すぎる。ここまで凛琉に言われないとわからないなんて。

もともと人の好意とかにはあまり敏感ではなかったけど、まさかここまでとは。



「……や、なんでもない。自分の鈍さを恥じて、ついでに煩悩を追い払ってるだけだから」

「だ、大丈夫?」

「うん……」



これから私の心は大丈夫ではないだろうけど、いまはまだ、大丈夫。

……でも、どうしよう。こういう時、どうしたらいいんだろう。私、わかんないよ、あかねさん。


教科書に顔をうずめたまま、頭をぐるぐる回していれば。



「おい、そのまま歩いてたらあぶないだろ」

「わぎゃっ」



ぐいっと教科書を後ろから引っ張られて、あやうく顔が後ろにもげるところだった。