放課後。


錆び付いた、重いドアを開ける。


「渚」


そこでは徹が優しげに微笑んでいた。


冬の北風に髪がなびく。


「私に何か、言いたいことでもあるの?」


「渚は俺の大好きな幼なじみで」


「美人で、頭も良いから。昔からとても好きだった。」


「渚は俺が居なくても生きていけると思うけど」


「俺は渚が居ないと絶対に生きていけない。」


「だから、俺と」


徹が私の腕をつかむ。


「付き合って下さい!」


徹が優しくはにかんだ。


それでも、素直に言えない私は。


「最初から、そう言ってくれれば良かったのに」


徹の顔が明らかにパァッと明るくなる。


「えっ、つまりは、渚が、俺のこと、好」


「うるさい‼」


徹の口を手でふさぐ。


徹はふさいだ私の手に、優しくキスをした。


「これからも、よろしくね」


最初と同じ優しくはにかんだ笑顔で徹は言った。


「私こそ、よろしくね」


私たちは、手を重ね合わせた。


夕焼け空に、雲が溶けていく。