(ああ、うん、そう…って、ええ⁉)
周りの女子は、やっぱりねー、と笑っている。
「渚」
徹が私の名前を呼ぶ。
「へっ、あっ、ああ、ああ‼うん‼」
全力でキョドった。もう嫌だ…
すると、徹は私の頬を両手で覆うようにした。
徹のご尊顔が、どんどん近づいてくる。
ていうか、これってキスじゃない⁉
思わず口の前に手を持っていく。
キス、拒否、しちゃった…
徹の顔からは何を考えているか読み取れなかった。
(ああ、もう‼私のバカ‼)
拒否なんてしなければ、恋人になれたのになぁ…
それでも私が咄嗟にしたのは、心のなかでは……
(嫌って、ことなのかなぁ…)
そんな事を悶々と考えながら、時間が過ぎた。
○o。.○o。..。o○○o。..。o○.。o○.。o○.。o○○o。.○o。.○o。.
あっという間に昼休みだ。
コンクリートの床がキュッ、キュッと音を立てる。
降り注ぐ光がとても眩しい。
ピンクのサザンカは、まだ綺麗に咲き誇っている。
(そういえば、前に聞いたな)
多田さんと石島さんの話。
ピンクのサザンカの花言葉は、永遠の愛。
そんなことをぼんやりと考えながら歩く。
遠くに徹の姿が見えた。
朝のこともあり、ちょっと気まずい。
咄嗟に物陰に隠れた。