「神楽さん?」

目つきが変わった蘭を見て、圭介と桜木刑事は蘭を不思議そうに見つめる。次の瞬間、蘭は圭介や桜木刑事もついていけないスピードで椅子から立ち上がり、圭介の目の前に立つ。そしてポカンとした顔の圭介の肩を思い切り押し、ソファに圭介を押し倒した。

「これでも私が襲われると思いますか?」

無表情のまま蘭は訊ね、圭介は蘭が軍人並みに強いことを思い出す。蘭はただ椅子に座っているだけならば、名家のお嬢様のようなため、過去を聞いても信じられないと思ってしまうのだ。

「蘭ちゃん、めちゃくちゃ強いんだね。でも下手すれば暴行罪になっちゃうからね」

桜木刑事に微笑まれ、蘭は「承知しております」と答え、圭介に「立てますか?」と手を差し伸べる。圭介は頬を赤く染めながらその手を取って体を起こした。

その時、桜木刑事のスマホに電話がかかってくる。桜木刑事はすぐに電話に出て、「わかった、すぐに行く」と答えた。