「すごい……。めちゃくちゃ豪華……」

圭介が呟き、誰もがテレビに映し出されるパーティーに釘付けになる。その時、蘭がポツリと言った。

「私は……こうした空気の方が好きです。自分がよく知る人といた方が落ち着きますので」

蘭の頭に浮かんだのは、アメリカで星夜(せいや)と暮らしていた時のことだった。蘭の作ったご飯を星夜はおいしそうに食べてくれて、たまに蘭に作ってくれた。星夜の作ってくれたご飯は、家族が用意してくれたもののように温かかったことを蘭ははっきりと覚えている。

「そうよね!私たちはこのスウェーデン料理パーティーが一番よね!」

ゼルダがそう言い、テレビのリモコンを押す。テレビに一瞬だけ西園寺グループのご令嬢の豪華な紫のドレスを着た女性が映ったものの、画面はすぐにニュースを映したものに変わった。

楽しく、温かい夜が過ぎていく。蘭は圭介と目が合い、みんなと同じように微笑んだ。