「お母さんを解剖したらどうするの?」

朱莉の問いに、蘭は「朱莉さんや透さんの待つ家にきちんと戻ります。由美子さんのご家族は、朱莉さんや透さんですから」と涙をこぼしながら言った。朱莉の目にもまた涙が浮かぶ。

「嫌い。あなたのこと、嫌いよ。でも今泣いてるのは、お母さんがいない悲しみだけじゃないの」

「はい、承知しております」

夕暮れの中、泣きながら二人は抱き締めあっていた。