もしも、星夜さんが由美子さんのように誰かに命を奪われていたとしたら、私は両親の言った言葉を守れるのでしょうか……。

大切な人が突然いなくなってしまった悲しみ、理不尽な暴力に対する怒り、それらを全て蘭は朱莉にぶつけられた。

「法医学の、希望に」

蘭は呟き、未だに文句を言い続けている圭介たちの横を通って廊下に出た。



それからさらに数日。桜木刑事の顔を見ていると、捜査の状況がよくないことがわかる日々が続いていた。警察は玲奈を逮捕する気はほとんどないらしい。それに対してゼルダたちは抗議を続けていた。

「いや、俺だって逮捕したいよ?お金持ちだろうが何だろうが犯罪者なんだから……。でも、警察は大きな組織だから歯向かうとどうなるかわからないんだよ……」

情けない声を出す桜木刑事に、「じゃあ何のための、誰のための法律なんですか!!」と圭介が怒鳴る。桜木刑事は「上に言ってくれよ〜」と部屋を出て行き、「待ちなさい!」とゼルダとアーサーが追いかけていった。