写真には、髪を巻いてブランドもののかばんを手にし、豪華なドレスを着た玲奈が映っている。玲奈の周りにはボディーガードの人がいて、まるでハリウッドスターのような扱いだ。

「西園寺家には、警察のかなり上の立場にある人間もいるんだ。それで捜査本部が彼女を逮捕するべきかどうか揉めている」

桜木刑事の言葉に、「何それ!!」とゼルダが拳をテーブルに叩きつけた。ドン、と大きな音が響く。ゼルダは怒りをあらわにしていた。

「警察が身内にいるからって逮捕しないなんておかしすぎる!こんなの突然家族を奪われた桜庭さんたちはどうなるの!?」

「無免許にひき逃げって悪質すぎます。殺された被害者が哀れです」

マルティンもそう言い、アーサーや圭介も警察の捜査状況に不満を訴える。蘭は何も発することなくただ玲奈の写真を見つめていた。

『何をされても許すことができる心の優しい人になるんだよ』

ふと、蘭の頭に両親から言われた言葉が浮かぶ。そして次に未だに行方不明となっている星夜の顔が浮かんだ。