翌日、蒼生と会っても、話すことはなかった。あんなことがあって気まずくなるだろうとは思っていたが、まさか避けられるようになるとは。
お互いにガキだな、と思う。
だが、蒼生と話せなくなっても、まったく問題ない。
放課後、そんな最低なことを考えながら下駄箱に向かっていたら、向こうから藤枝さんが友達と話しながら歩いてきた。
「藤枝さん」
俺は思わず声をかけた。
藤枝さんは俺に気付くと、優しく微笑んで俺の前まで足を速める。
「柿原君、ちょうどよかった。柿原君って、甘いもの平気?」
単刀直入すぎて、俺は戸惑いながら答える。
「平気だけど……」
「よかった。あのね、今日クッキーを作ってきたんだけど」
藤枝さんは手提げバッグの中を探る。丁寧に包装されたクッキーが出てくる。
藤枝さんの、手作りクッキー。なんと女子力の高い。
「一つ余っちゃって。よかったら、どうぞ」
クッキーが差し出される。
「余ってたなら、言ってよ。私がもらったのに」
受け取ろうとすると、誰かに邪魔をされた。藤枝さんと話していた女子生徒だ。
「美波にはあげたでしょ。これは綾乃の分」
「ちぇ」
その子が不満そうにしているのに、藤枝さんは構わず俺にクッキーを渡してきた。
お互いにガキだな、と思う。
だが、蒼生と話せなくなっても、まったく問題ない。
放課後、そんな最低なことを考えながら下駄箱に向かっていたら、向こうから藤枝さんが友達と話しながら歩いてきた。
「藤枝さん」
俺は思わず声をかけた。
藤枝さんは俺に気付くと、優しく微笑んで俺の前まで足を速める。
「柿原君、ちょうどよかった。柿原君って、甘いもの平気?」
単刀直入すぎて、俺は戸惑いながら答える。
「平気だけど……」
「よかった。あのね、今日クッキーを作ってきたんだけど」
藤枝さんは手提げバッグの中を探る。丁寧に包装されたクッキーが出てくる。
藤枝さんの、手作りクッキー。なんと女子力の高い。
「一つ余っちゃって。よかったら、どうぞ」
クッキーが差し出される。
「余ってたなら、言ってよ。私がもらったのに」
受け取ろうとすると、誰かに邪魔をされた。藤枝さんと話していた女子生徒だ。
「美波にはあげたでしょ。これは綾乃の分」
「ちぇ」
その子が不満そうにしているのに、藤枝さんは構わず俺にクッキーを渡してきた。