そんなことを考えている間に、蒼生はつまらなそうに財布を取り出した。いや、不満そうだ。


「もう絶対に告白まではいくよね。そろそろ賭けにならなくなってきたと思わない? 僕ばっかり」


 それは俺も思っていたことだった。こうも簡単に告白されてしまうと、遊びにならない。



 これは、俺たちの最低で最悪な遊びだ。


 女子に近付き、優しくして、告白させる。


 俺たちは、女子が告白してくるまでの期間を賭けて遊んでいるのだ。



 俺は受け取った札を自分の財布にしまいながら、どうすればもっと楽しくなるのかを考える。


「……そうだ。嘘で付き合ってみるってのはどうだ?」
「夏輝、本当最低だね」


 そう言うわりには、蒼生は笑っている。どうやら賛成らしい。


「でもいいの? 興味ない奴と適当に付き合っても、つまらなくない?」
「そこなんだよなあ……」


 可愛くもない女子と恋人ごっこなど、やりたくもない。


 相手に迷いながら教室に戻っていたら、一人の女子生徒とすれ違った。


 可愛い。


 直感でそう思った。


「……ターゲット、発見」


 そして俺は、その子の肩を叩いた。