夢中になって話していると、奥さんが私の手をとって握った。

「アナタ、ワガシにもカンガイフカイノネ! ジンパチ、イイヒトエランダ!」
「は、はぁ……」
「ネェ、オナマエは? ナンテイウ?」
「東郷愛果と申します」
「モナカチャンネ! オボエタ! オサナイノニイイコ!」
「ソウダ、ソレ、ボクもオモッテタ! ジンパチ、コノコはイクツナノ? ハンザイ?」
「は、は、は、犯罪?」

 私はすっかりブー垂れモードに入りかけていた。どうせ、ガキみたいですよ……ふん、だ。そんな中、甚八さんは落ち着いて私の隣にやってくると、見せつけるかの如く腰を抱き寄せた。ち、ち、ち、近いから!

「彼女は僕の2つ下です。小さくて可愛らしいでしょう? でもしっかり者でとても頼りになるんです。誰にも渡しませんよ」

 思わず赤面して俯いた。

「アハハ、モナカチャン、テレチャッタ! カワイイネ! ヤマトナデシコ!」

 豪快なゲーン夫妻は笑い飛ばしたけれど、私はただ彼の胸でひたすらに赤面を続けたのだった。