「……あの、狼くん」

「なに」

「昨日、その……、ほっぺ、引っ叩いて、ごめんなさい」



思いっきり叩いてしまった。
赤いのは平手打ちの名残だ。


しょぼんとしながら謝ると、狼くんの手のひらがくしゃっと頭を撫でてくれる。




「いーよ。つか、俺も噛んだし」

「噛ん……っ!」




たしかに。
鎖骨には、わりとくっきり歯型がのこっている。


でも、べつに……いやじゃなくて。

むしろ、狼くんのものです、って感じがして……。




「あの、狼くん……」

「今度はなに?」

「その、私も、噛んでもいいですか」


「え」



「……だめ?」

「いや、なんで」




だって。




「狼くんがわたしのものって、印、ほしいもん……っ」