◇
「っ、狼くん、起きてくださいっ、朝ですっ!」
「うるさ……」
満たされて、甘やかされて。
現実でも夢でもとびきり幸せだったから、油断していたの。
今日も、もちろん学校。
なのに、思いっきり寝坊してしまった、このままだとふたりして。
「遅刻しちゃう……っ!」
がくがくと狼くんの体を揺さぶるけれど、だめ。ほんとうに狼くんは朝弱い……!
そして、挙句の果てに。
「……もうちょっと」
もぞもぞ伸びてきた腕が、抱き枕みたく私をつかまえる。
ぎゅ、と腰のあたりを引き寄せられて、一気にあがる心拍数。
もう心臓が壊れてしまいそう。