「……っ、あのな」


「狼くんにふれられない方が傷つくんです! だいすきだから、狼くんになら何されても大丈夫だから……っ」




だから。
両手いっぱいに力を込めた。



ビリビリビリッと大きな音をたてて、真っ二つにやぶれていく。


おやくそくの紙がやぶれる様子を狼くんは呆然と見つめていた。



あのね、ほんとに、だいすきなの。

だから。




「狼くん、約束しましょう」




あたらしい、おやくそく。

小指をそっと差し出すと、狼くんはちゃんと絡めてくれた。


だから、大丈夫。




「大好きだって気持ちがあれば、お互いを思う気持ちがあれば、細かい約束なんてきっといりません」


「……うん」



「だから、ただ、ずっと私と一緒にいてほしい……っ」




ほろっとこぼれた涙ごと、狼くんがぎゅっと抱きしめてくれる。

ふれて、ふれられて、だいすきなのはいつだってこの温度。


涙目のまま、ふふ、と笑みをこぼすと、また唇が重なった。





「狼くん、だいすきです」

「もう知ってる」






その声がとびきり幸せそうに聞こえたのは、もうぜったい気のせいじゃない。