アイリスは目を見開く。フッと笑ったレオナルドはすぐに背中を向けて歩き出した。

 しかし、何かを思い出したようにこちらを振り返った。

「俺はいつもあの時間にいる」

 そして、今度こそ振り返ることなく、訓練場を後にした。


    ◇ ◇ ◇


新人騎士同士の訓練中、鋭い打撃を剣で受け止めたアイリスは体の節々に痛みを感じて顔を顰めた。

「痛たた……」

 腕や腹部が引き攣りそうになり、小さな悲鳴を漏らす。