本当の魔法とは、どんなものなのだろう?
 あの物語のようなことが本当にあったら、どんなに素敵だろう。
 そんなことを考え、馬鹿げた話を、とゆるゆると首を振る。

 アイリスの様子をじっと眺めていたレオナルドが、つと口を開く。

「そういえばあの日、お前は決定的なミスをしていた。なんだかわかるか?」
「あの日?」

 アイリスは突然レオナルドに切り出された話がよくわからず、首を傾げた。

「入団式の日に、盗人を追いかけていたときだ」

 アイリスは驚いてレオナルドを見返す。
 一度会っただけだし、アイリスは今年入団したばかりの新人団員。気付かれていないと思っていたのだ。