駅のホームまで行くと入り口に伊月が壁に背を預けるようにして、立っていた。



長いまつげが影を落とし、より表情が印象的に見える。



とても、カッコいい。そこらの、モデルなんかよりも、ずっと。



ああ、私は伊月のことが好きなんだなとおもった。



私たちがホームの入り口の近くまで行くと、むくりと、体を起こしてこちらに近づく。



私の前で伊月は、ピタリと止まる。



「何で、こいつと帰ってんの?」



腹立たしげに伊月は、言う。



「伊月には、関係ないじゃん」



少し、伊月の言い方にイラついて、冷たく返す。



刹那、伊月はぎゅと、強く私の腕を掴んだ。



反射的にびくりとからだが震える。



伊月の手をはずそうと腕を捻るがびくともしない。



「俺、こいつと話があるから」



伊月は、そう言うと私の腕をひいて、どこかへ連れて行こうとする。



訳が分からなくなって、啓斗くんに目で、助けをこう。



啓斗くんは、鋭く察知してくれたらしく、口パクで『作戦成功。頑張って』と返してきた。



どうやら、『ヤキモチ妬かせよう大作戦!』は成功したらしい。



けど、私は伊月の表情を見るかぎり、そうはどうしても、思えなかった。