「山川くんほっとしてたね。ヤオのおかげで」

「元はといえばハギくんのせいだと思う」

「え、俺のおかげ?」



ハギくんの頭のなかではどうやら都合のいいように変換されるらしい。


もういいや、とハギくんの服装指導に移るけど



問題はここからだった。




「あの。もうこれ、わざととしか思えないんだけど」



耳元にきらりと光るピアス。

規定以上にあけられたシャツのボタンに、

かぎりなく緩められたネクタイ。


上から下まで指導するところがありすぎて、わたしは頭が痛くなりそうだった。




「ねえ、ブレザーはどこいったの?というかズボンのベルトもしっかり締めて!」



もはや日常と化しつつあるハギくんの服装指導。


いいかげん直してほしいのに、とうの本人は素知らぬ顔で立っている。

いまにも口笛をふきだしてしまいそうなほど気楽なたたずまいだった。