朝ごはんを食べ終えると、私はテレビをぼーっと見て奏太は難しそうな本を読み始めた。
でもすぐに飽きたのか、私の髪で遊び始める。
「奏太って私の髪好きだよね。こないだ映画みてたときも触ってたし」
「……うん、好きだよ」
…っ。
うっかり「好き」という言葉に反応してしまう。
「もちろん、麻衣も好き」
「な…っ」
耳元でささやかれて、ゴトッとリモコンが手から滑り落ちる。
「………ねぇ、麻衣?」
奏太の手はいつの間にか髪から移動していて首筋あたりをさすられる。
そのまま至近距離アンド耳元でささやいてくるからもう私の心臓はバックバクで……、
「わっ、私、お水飲みたいなっ!」
むり、たえられない。
ぎこちなく立ち上がってヨロヨロと台所に向かう。