「多賀くん……っ!」
中庭で購買のクリームパンを食べていた彼を見つける。
走ってきた私に多賀くんも近くにいた男子たちもギョッとしていた。
「なんだぁ陸人、告白かぁ?」
ひゅーひゅー、とヤジが飛ぶ。
こっ、告白…じゃないのに……っ。
慌てる私に「ちがう」とまわりを一喝した多賀くんは、
「あっちで話そう」
と優しく笑ってくれた。
「そりゃーよかったなー」
電話のお礼と、それからのことを話すとベンチに座っていた多賀くんは空を見上げ、私を見る。
「俺も麻衣ちゃん、狙ってたんだけどなぁ」
「え……っと…ごめんなさい」
でもきっと、多賀くんがいなくて電話でああ言ったりしてくれなかったら、私と奏太は今も気まずいままだったと思う。
「まぁ分かってたんだけどね。俺が転校してくるずっと前から麻衣ちゃんは幼なじみくんのモノだったし」